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第16回 物流と通運業――アメリカの少量物品輸送の変遷―

  • 2010-01-25 (月) 9:00
  • 物流

 前回はコンテナ輸送の導入をめぐる経緯について述べたが、それに関連してさまざまな問題が派生して起こった。たとえばコンテナの中の荷崩れが起こったためシートパレットや胴巻きを利用するという補助作業の問題からコンテナの駅頭滞貨の問題など結構細かい問題がある。コンテナが荷主の庭先に行ったまま返ってこないなどはいい方であり、行方不明の空コンの問題などの問題もある。そこで責任のなすりあいが起こることも少なくない。現場担当者の苦労が忍ばれる。この種の問題は外の人間にとっては目配りも気配りも届かない。中でも「荷傷み」の問題は運送業にとっては古くから大きな問題であった。輸送という見た目には易しい行為の社会関係は複雑な「責任の塊」であることは理解しづらいところである。

 今回は、アメリカの通運業の「小史」について述べておきたい。もともと通運業は大きなものを「小分け」(break bulk)することに運送の商機を見出す行為である。これだけいえばなんだそれだけかと受け止める御仁があるかもしれないが、抽象的な言い方をすれば時間、空間、情報のギャップ(差異)を利用して商業マージンを稼ぐ行為であるから、金融業、商業、情報・通信業などと似性質を多く持っている。これらの産業を足し算すれば国民経済の大半を示すことになる。その対価としての賃率・料金は扱い数量に応じて低減(taper)するのが普通であり、そのことが利潤の基になるのである。

 そんなことから通運業の主業務は「少量物品(small shipments)を集約した形で都市間ルートを動かすことである」(R.C.Lieb米・ノースウエスタン大学教授、1978年)。この定義から分かるように、通運業は自ら運送行為を行うかどうかは関係がないことになる。フォワーダの収入は75%がラインホール・キャリヤーに払い出される。いまでは廃止されたがかつてのICCの規制法のもとで通運業(Surface Freight Forwarder)といえば自動車運送業、鉄道業、水上運送業を利用して運送する運送業である。最近は「サーフェイス(地表)運送」という言い方はほとんどなくなったが、かっては航空郵便に対して「地表郵便」というのがあった。航空と地表という区分はあまり意味がないように見えるが、CAB(アメリカ・民間航空局)がサーフェイス・フォワーダをエアフォワーダに拡張して地表(陸上)の場合に比べて、より弱い基準の免許を発布したため、エア・フォワーダ(航空免許業者)が一挙に増えた。その結果、鉄道フォワーダが減少したという出来事があった。他方、1960年代初めにはICCは「ピギーバック・プラン」(次回)による大量輸送をフォワーダに認めたため「ピギーバッキング」(ピギーバック化)が進んだ。

 少しばかり話が紛らわしくなったかもしれないが、アメリカ版荷物会社であるREAについても述べておきたい。REA(Railway Express Agency)は1929年に設立された少量貨物を集貨して鉄道輸送に寄託するための会社(鉄道会社の共同出資会社)であるから、かつての国鉄の荷物会社と似た会社であり、鉄道、トラック、航空の複合輸送もできるという特色をもつ会社であった。それぞれの部門の輸送が郵便、UPS,都市間トラック輸送と競争的であった。1960年代の終わりには鉄道会社から財政的に独立したが、1975年2月に破産宣告して、国鉄の荷物会社と同じ運命をたどった。

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