ホーム > 物流 > 第19回 物流と通運業――インターモーダルとマルティモーダル

第19回 物流と通運業――インターモーダルとマルティモーダル

  • 2010-04-23 (金) 9:00
  • 物流

 物流と通運業と題して述べてきたが、今回は少し表題を変えてみたい。インターモーダル輸送とマルティモーダル輸送の違いから説明してみたい。輸送について複数のモード(交通機関)を利用することは陸・海・空にわたって広く利用されているからいまさらいうまでもない。ところが所有関係となると話が複雑になる。鉄道会社が持つ海運会社(たとえば青函連絡船)とか、バス会社が経営するタクシー業とかかなり複雑に入り混じっている。その理由は歴史的発展過程の違いとか資本的所有構造などの影響が大きい。アメリカやカナダではどうかといえばインターモーダル所有は認めており、したがって相互参入も認可してきた。たとえばサーフェイス・キャリヤ(陸上運送業者)による航空フォーワーダへの参入は許されてきた(既述)。しかし、マルティモーダル(会社)、たとえば鉄道会社がバス会社、トラック会社、海運会社などを一社で経営すること(マルティモーダル会社)は長い間認めてこなかった。その理由は、1912年のパナマ運河法という法律によってマルティモーダル会社を禁止していたからである。それ以来、アメリカでは「マルティモーダル会社」は実現しなかったが、1912年法以後上院において長年論争が続いた。規制の是非をめぐってこれほど政治の場で論争になったものも少ない。それも1980年代までであった。

 ついでにいえば、それはちょうど金融におけるグラススティーガル法(銀行・証券業の垣根)の撤廃と同じであるが、それがサブプライム問題を発生させて2008年危機をもらした。その延長戦上で国が財政危機状態(裏返せばEU諸国の銀行の不良債権が大きい)にあるギリシャ、ポルトガル、アイルランド、イタリー、スペイン(PIIGS)が経済危機に至っている。アメリカのオバマ政権も金融規制(ボルカー・ルールの導入)に踏み切る勢いである。国際金融学者として著名なトリフィンがかって「トリフィンのディレンマ」と呼ばれる現象を指摘したことがある。それは「国際通貨としてのドルが増加するとドルの価値が低下するというディレンマ」である。いまヨーロッパの統一通貨ユーロでも起こっている現象である。リスク資産がふえれば増えるほど経済がブルネラブル(脆弱)状態になることを意味する。その意味で経済は少しばかりの変動には十分な抵抗力がなければならない。企業とて同じである。

 話が大きく脱線したが脱線ついでお許しを頂いて昔からいっていることを紹介させていただきたい。それは経営は「7・3の原則」にしたがって経営する必要があるというものである。安定要素を重視した経営に7割の経営資源を割き、残りの3割はリスクの大きい成長要素に経営資源を投入するというものである。安定ばかり重視した経営は成長機会を見逃す傾向が強くなる一方、成長ばかり考えていると偶発的リスクに耐え切れない。昔から中小企業の経営は「資金繰り」によって決まるといわれてきた。不況になると金があってもパタッと動かなくなるが(日銀に還流して貯まる金は「ブタ積み」と呼ばれる)、リスク要素が低下すると安心して利潤に挑戦するようになる。国の内外を問わず変動の激しい経済になっているから大企業といえども油断ができない状態になっているが、「経験」による判断力と決断力によって前進することが大切であろう。

ホーム > 物流 > 第19回 物流と通運業――インターモーダルとマルティモーダル

Search
Feeds
Meta

ページのトップへ